山田陽平のモデルは神田一明(日勝の兄)

画像引用元:(C)犬飼貴丈&バーニングプロダクション

『なつぞら』で、犬飼貴丈が演じる山田陽平。このモデルは、画家の神田一明氏だ。

神田氏は、実在する画家である。そして、氏の弟の「神田日勝」は、なつぞらの山田陽平の弟・天陽のモデルでもある。まとまるとこうなる。↓

  • 山田陽平・天陽は兄弟
  • 2人とも実在モデルがいる
  • 神田一明・日勝の兄弟である
  • 神田兄弟も、2人とも画家

気になるのは「神田兄弟とは、どんな画家だったのか」という点だろう。弟の日勝については、下の記事で詳しく解説する。

兄の一明氏は今回の主役である。そのため、ドラマの山田陽平の共通点と合わせ、プロフィールなどを詳しく紹介させていただく。

目次

山田陽平のキャラクター紹介

まず、公式サイトの紹介文を見てみよう。

(引用開始)

なつに絵を描くことを教えてくれた天陽(吉沢 亮)の兄。彼自身も絵画の才能に恵まれ、貧しい農家の長男でありながらも奨学金を得て芸術大学で学ぶ。兄を探しに東京に出てきたなつに、漫画映画の世界を紹介する。 引用元:《2019年度前期 連続テレビ小説》北海道 十勝 編の新たな出演者が決定!(NHK)

(引用終了)

これはほぼ全て「実在の神田一明の人生と同じ」である。違うのは最後の「なつに漫画映画を教える」という部分だけだ。

明日矢呂
ウサギ

ここからは「陽平の設定と一明氏の人生がどう共通しているか」を解説していきます!

山田陽平・神田一明の共通点

山田陽平と神田一明の共通点はこの通り。↓

それぞれ説明していこう。

弟が絵の天才

神田一明の弟は、神田日勝(にっしょう)である。下の写真の通り、塩顔で素朴なイケメンだった。

神田日勝記念美術館・イベント情報&最新ニュース「平成23年度特別企画展「神田日勝、画家デビューの頃~early 1960’s」(2011.10.02)より

32歳の若さで亡くなったこともあり、有名なのは日勝の方だ。しかし、生前の評論家の批評を見ると、2人の才能は同等だったといえる。

何はともあれ「兄弟そろって絵の天才」という点が、最初の共通点である。

貧しい農家の長男

陽平も一明も、両方「貧しい農家の長男」である。『なつぞら』の陽平の方は、NHK公式サイトの説明どおりだ。

窮鼠ネコ

つまり、陽平の方は説明しなくていいので、一明氏の方を説明していきます!

下の2つの内容がわかる記述を説明していく。

一明が長男だったことがわかる記述

これは『神田日勝』という下の本でわかる。

画像引用元:鈴木正實『神田日勝 ―北辺のリアリスト―』(北海道新聞社/1997年)|amazon.co.jp

この本の中で、日勝が生まれた家族について、下のように書かれている。

家族は父母と2人の姉、兄、そして妹の7人。

わかりやすく「年齢順」に家族を一覧にしよう。↓

  1. 長女(1人目の姉)
  2. 次女(2人目の姉)
  3. 兄(一明=長男)
  4. 本人(日勝=次男)

これで7人である。見ての通り「一明が長男」とわかる。生まれたのは3番目だが、男児としては1番目だったということだ。

「貧しい農家」だったことがわかる記述

最初に補足しておくと「貧しい」というのは、ここではネガティブな言葉にはならない。一明も日勝も「そうした境遇から画家として大成した」ことが評価されているからだ(特に夭折した日勝)。

その前提で書くと、神田家は貧しかった。それは下の記述でわかる。

「(中略)農業だけで食えない開拓農家は現金収入を得るため、郵便配達をしたものです。日勝の父親も郵便配達をしていました」

引用元:鈴木正實『ミュージアム新書4 神田日勝-北辺のリアリスト』(1992年)|北海道新聞社の本

太字の部分で「日勝の父親&家庭は、生活が苦しい農家だった」ことがわかる。

上の言葉は誰が語ったものか?

これは、日勝の妻・ミサ子さんの叔父さんである(高野保昌氏)。

どんな文脈で出てきた言葉か?

これは、日勝の代表作の「家」という絵の解説である(画像はクリックで拡大)。↓

鈴木正實『二度生きる 神田日勝の世界』(2003年/北海道新聞社)巻頭グラビア3ページ目

小さいので、自転車部分だけアップにしてみよう。

画像引用元は上の図と同じ

このように「赤い自転車がある」のがわかるだろう。「この赤い自転車は何を意味しているのか」を、先ほどのミサ子さんの叔父さんが解説されていたわけだ。

補足…ドラマの父親(正治)も郵便配達をする

この「農業で食べられないから郵便配達をする」という設定は、ドラマでも持ち込まれている。陽平・天陽の父親は、山田正治(せいじ)という。詳しくは下の記事で解説している。↓

奨学金を得て芸大に進学

ドラマの設定どおり、実在の一明も奨学金をもらって芸大に進んだ。これは下の本でわかる。

引用元:『二度生きる 神田日勝の世界』(鈴木正實著・北海道新聞社・2003年)|北海道新聞社の本

この本の中に、下の文章が出てくる。

(引用開始)

一明は帯広の高校を卒業して、東京芸術大学へと進んだ。奨学金を得て授業料は免除だった。

引用元は上の画像と同じ『二度生きる』

(引用終了)

太字のとおり「奨学金を得ていた」ことがわかる。東京芸大で授業料が免除になるのだから、相当な才能を持っていたことがわかるだろう。

芸大は東京である

これも先ほどの引用文でわかる。「東京芸大に進んだ」ので、文字通り「東京の芸大」である。

1913年の東京芸大(当時は東京美術学校)
画像引用元: Wikipedia「File:Tokyo school of fine arts 1913.jpg」

ドラマの中では、東京に出てきたヒロイン・奥原なつに、山田陽平が漫画映画(アニメ)の世界を教える。

神田一明はどんな画家か

神田一明・プロフィール

1934年、東京都練馬区生まれ。油絵画家。元・北海道教育大学名誉教授。弟は北海道を代表する著名な画家・神田日勝(故人)。妻は彫刻家の神田比呂子。妻の比呂子は元・旭川大学女子短期大学部名誉教授である。

1945年、11歳で北海道十勝地方に移住。帯広柏葉高等学校に入学し、小林守材・能勢眞美に師事。21歳で画家を志し、奨学金を得て東京藝術大学に入学。1959年、25歳で同大学油絵科を卒業。翌年、同油絵専攻科修了。

大学卒業後は、道内の中学校・高等学校の美術教師を経て、1966年より北海道教育大学旭川校で指導にあたる。永年にわたって勤めた同大学では子弟教育に尽力し、多くの教育者・美術家を輩出してきた。

教鞭をとるかたわら、自身の作品も精力的に発表。行動展新人賞、行動美術賞・会友賞を受賞したほか、2年にわたって安井賞の候補に選出されている。

20代は生活観溢れる人間と室内風景。30代・40代では、青い室内静物の宇宙的な拡がりを持つ作品。50代からは人間存在の孤独を描いた作品を、主に発表してきた。風景画の小品も多く制作している。

1999年、旭川市高砂台に自身の美術館「神田美術館」を開設。市民に芸術鑑賞の機会を提供するとともに、絵画教室を主催し、学生や市民の指導にも尽力してきた(現在、神田美術館は公式ホームページを休止中)。

2015年、長年の功績により「旭川市文化賞」を受賞。受賞理由は「永年にわたり、絵画分野の第一人者として中央画壇で活躍するとともに、後進の育成や、美術を愛好する市民の拡大に努めるなど、本市の美術の振興と発展に尽くした功績」。

顔写真

神田一明氏は、2015年に旭川市文化賞を受賞している。そのときの様子を伝える市のホームページで、一明氏の顔写真を拝見できる。

神田一明氏
画像引用元: 旭川市文化賞 平成27年度 各賞の受賞者紹介(旭川市公式ホームページ)

一明氏は1934年生まれなので、上の写真が撮影された時点でなんと「81歳」である。もし81歳の時点で撮られたもので間違いなければ、この外見は「相当若い」といえるのではないだろうか。

夏空
あおい

画伯なので意識されてないと思いますが、60代くらいに見えますね!

余談だが、B'z(ビーズ)のギタリスト、松本孝弘氏にも結構似ている。

B'z 松本孝弘氏
画像引用元:yuki_bz_tak178 's posts(PIKBEE)※初出はギタリストMIYAVIの公式インスタグラム

松本氏は上の写真が撮影された2017時点で56歳。写真撮影の時点の年齢で比べると大体25歳違う。この年齢差も考慮すると、ある程度似ているのではないだろうか。

時和杉
サル

一明さんが眉毛をキリッとさせて、茶髪のロングにして、革ジャンを着て、ギブソンのギターを持たれたら、かなり近づくと思います!

明日矢呂
ウサギ

かなり不良な画家だな。

どんな絵を描いているのか?

神田一明の画集は絶版となっており、ホームページも休止しているため、すべての作品を把握するのは難しい。このため、Web上で把握できる一部の作品を紹介させていただく。

『夕暮れに』(2000年)
画像引用元: 画家・神田一明 by『共犯新聞』

上の『夕暮れに』と似た作品で、下の『ふたり』という絵もある。

『ふたり』油彩 150P
画像引用元: 現代日本の画家「神田一明」

この2点のみを見ると「オレンジ色の背景で、道に迷う男を描くことが多い」という印象を持つかもしれない。しかし、下の『潮風の来る室内』のような、「一般受けする風景画」も描かれていたようだ。

『潮風の来る室内』(東明中学校・蔵)
画像引用元: 神田一明先生のこと(学びの森)

リンク先のブログの管理人さんは、直接神田一明氏から教えを受けられたそうだ。その経験から語られるには、このような作品は一明氏にとって「習作」のようなものだったらしい。

夏空
あおい

習作というのは「練習のために作った作品」です。

辞書では下のように説明されている。

文芸・音楽・絵画・彫刻などで、練習のために作品をつくること。また、その作品。エチュード。

引用元:コトバンク「習作」

最後に「エチュード」とあるが、実はショパンの『革命のエチュード』も練習曲なのである。

窮鼠ネコ

ショパンといい一明氏といい、練習のレベルが人間じゃないですね。

このように、習作では一般人にわかりやすい「スタンダードで綺麗な絵」を描き、ライフワークでは、より高次元でミステリアスな絵を描かれている。

B!

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