奥山玲子

奥山玲子氏の生年(1936年か1935年か)

結論をいうと「1935年と1936年の両方の説があっていい」と思う。ただし、外国の学者が日本のアニメーション史を研究するときなどは、1936年の方を採用するだろう(国会図書館のデータなので)。

興味がある方は、データの詳細について書いていくので、読んでみてほしい。


奥山氏の生年には2つの説がある。

講談社のフライデー・デジタルの記事は大変な良記事だ。しかし、学術論文でどちらのデータが採用されるかは、言うまでもない。

もちろん、Webは論文ではない。しかし、Webは正しい情報を発信すべきものだ。そして、もっとも正しさを求められるのが論文である。

よって、Webでも論文のルールを採用するのが正しい。そのため、当サイトは「1936年」を採用する。また、GoogleのサジェストやWikipediaも、1936年を採用し続けるだろう。

ここではまず「国会図書館のデータとは何か」から説明していく。

1936年…国立国会図書館のデータより

まず、画像から見てほしい。これが結論なのだ。

右下に「著者標目:奥山,玲子,1936-」とあるのがわかるだろう。これは「1936年生まれの奥山玲子」を意味する。

「この書籍の著者は、1936年に生まれた奥山玲子さんです」と、国会図書館が示しているわけだ。次に調べるのは「この書籍」が、奥山玲子のものかどうかだ。

奥山玲子の詩画集『墓標』である

先ほどの画像は「一部を拡大」したものだった。全体を見てみよう。

タイトルが「墓標:詩画集」となっている。これは奥山の著書だ。この本については「詩画集 墓標」のページで解説する。ここから先は「年代」のみに注目して書いていく。

奥山は1960年代末に、詩画集『墓標』を出版した

奥山玲子本人に取材して書かれた『日本のアニメーションを築いた人々』では、下のように書かれている。

奥山氏は60年代末に詩画集『墓標』を出版している。

『日本のアニメーションを築いた人々』P.106

そして、先ほどの国会図書館の『墓標』のデータを見てみよう。

赤線の部分に「出版年月日等:1968.10」と書かれている。ここから「1968年10月」に出版されたことがわかる。著者などの他の情報も見ると、上の画像の中で、下の4点がすべて一致しているわけだ。

当然ながら、これだけの情報がすべて一致することは、偶然ではありえない。このため、国会図書館にあるこの「墓標」のデータは、奥山のものである。

このデータが見られるページ

墓標:詩画集(国立国会図書館)※サイト名は外国人でもわかるよう「NDL Search」となっている。

再版の方のデータもある

奥山は『墓標』を2001年に再版している。それは下の記述でわかる。

奥山氏は60年代末に詩画集『墓標』を出版している。苛烈な時代性と恋愛を綴った詩に、引き裂かれた女性を描いた繊細なペン画の挿絵が添えられた作品集で、2001年に文芸社より再版されている。

『日本のアニメーションを築いた人々』P.106

この「2001年版」のデータは、下のページで見られる。

墓標:詩画集(国立国会図書館)※2001年・文芸社

画像にしてみよう。

赤線の部分を見て欲しい。下のデータが書かれている。

ここから「文芸社によって、2001年11月に出版された」ことがわかる。黄色部分の「奥山,玲子,1936-」もさっきと同じだ。

このように、国会図書館に登録されている2冊の書籍のデータで「奥山玲子の生年は1936年」となっているのである。

ここまでのまとめ

ここまでにわかったことをまとめよう。

上記の内容がわかった。ここで気になるのは、下の2点だろう。

それぞれ説明していこう。

国会図書館のデータは正しいのか

これは、当然間違うこともある。このため、もし間違っていた場合は、下のフォームから申請できる。

国立国会図書館・お問い合わせフォーム

「申請できる」ということは、下の部分に書かれている。

書誌データの誤りを見つけたのですが、訂正してもらえますか?(国会図書館)

その他の詳しいルールは、下のPDFに書かれている。

国立国会図書館の書誌データの修正に関する取扱い

もし「奥山玲子の生年は1935年(昭和10年)である」と知っている方がいたら、上記のフォームから申請して修正していただくといいだろう(もちろん、修正の必要が感じられた場合のみ)。

「奥山,玲子,1936-」は、本当に「1936年生まれの奥山玲子」という意味なのか

まずカンマで区切ってある理由は「苗字・名前を区別する」ためである。たとえば、著名な女優の「浜木綿子」は、浜が姓で、木綿子が名前である。しかし「浜木」「綿子」と読んでしまう人も多いだろう。

このような間違いをなくすために、カンマが入っている。いわゆるタグで「奥山という著者一覧」「玲子という著者一覧」としているわけではないのだ。

生年と区切る理由

これは説明しなくてもいいだろう。フルネームを区切らない場合でも、名前と数字の間は「何か区切りを入れる」のが普通だ。

「スペースでもいいのでは?」と思うかもしれないが、それは最初に決めた人に聞いてほしい。実際、スペースでもいいと思う。

(おそらく、データベースを管理するためにはカンマの方がいい)

「1936-」という数字は「付記事項」である

もう少し専門的に説明すると、「1936-」という数字は「付記事項」というデータである。付記事項は「同姓同名の著者を区別するための情報」だ。

当たり前だが「生没年も同じで同姓同名」ということは、日本ではめったにない。そのため、生没年だけで大体区別がつく。

奥山は出版した時点で生きていた。そのため「1936-」という「生年だけ」が書かれている。

死後に没年が追加されなかったのか?

これは、国会図書館も忙しかったのだろう。そもそも、奥山玲子も「知る人ぞ知る偉人」であるし、『墓標』は彼女の代表作ではない。マニアックなファンしか知らない。

奥山玲子が他に著書を多数出していれば、亡くなった後に情報が更新された可能性がある。しかし、他に出していないので、更新されなかったのだろう。

(もちろん、アニメーターなので著書が少ないのは当然である)

例のデータが奥山玲子のものであることは、間違いない

「亡くなっているのに没年の記載がない」という部分は、確かに少々気になる。しかし、例のデータ「奥山,玲子,1936-」が、確実にアニメーターの奥山玲子であることは、先に説明した通りだ。

付記事項についての、国会図書館の説明

管理人が書いた「付記事項の説明」が正しいかどうかも確認した方がいいだろう。国会図書館は下のように説明している。

付記事項は世系及び生没年を採用し、世系及び生没年で区別できないときは、職業・専攻等を付記する。

国立国会図書館「個人名標目の選択・形式基準」(2017年8月改訂版)P.10「3-4 付記事項」の段落 ※PDFファイル

カンタンに書くと、こういう意味だ。↓

ここで「世系とは?」という疑問が湧くだろう。これは「血統」である。現代人には関係ない。主に古代の王族・貴族などの著書で、彼らを区別するために用いる。

奥山・小田部と同年代で、2人をよく知る男性のツイート

元アニメーターで、現在鉄道写真家の南正時(みなみ・まさとき)氏は、下のようにツイートされている。

赤線部分の通り「1936-2007」と生年が書かれている。右の写真では小田部氏と一緒に写真を撮影されている。

一連のツイートを拝見すると、南正時氏は奥山・小田部の両氏や、多くのベテランアニメーターの方々と、深い交流があるようだ。

その方が、3000以上も「いいね」を押される反響の多いツイートでこうして生年を書かれている。そして、現在まで修正されていない。

ということは、1936年というデータは「奥山氏の身近な方」から見ても、正しい可能性が高い。

1935年…講談社「FRIDAY DIGITAL」のデータより

これは下のデータのことだ。

※1 奥山玲子(1935~2007):宮城県仙台市生まれ。宮城学院高等学校卒業。東北大学教育学部中退。1958年東映動画(現・東映アニメーション)入社。『白蛇伝』(動画)、『わんぱく王子の大蛇退治』(原画)、『太陽の王子ホルスの大冒険』(原画)、『アンデルセン童話 人魚姫』(作画監督)、『龍の子太郎』(作画監督補)、『注文の多い料理店』(原画)、『冬の日』(絵コンテ・原画)。1985年より東京デザイナー学院アニメーション科講師。1988年より銅版画制作。

引用元:朝ドラ『なつぞら』広瀬すずヒロインのモデル・奥山玲子さんの全て(FRIDAY DIGITAL)

リンク先の最後に「人物・用語の説明」という段落があり、そこに書かれている。

このデータは正しいのか?

下のことを考えると「国会図書館の件さえなければ、正しい」といえる。

ただ、国会図書館のデータとどちらを信用すべきかといったら、国会図書館の方である。そもそも、Webの記事は、ただの打ち間違いという可能性もあるためだ。

よって、現時点ではまだこのデータを採用すべきではない。GoogleやWikipediaも確実にそう考えるだろう。

もしGoogleのサジェストやWikipediaのデータを修正したいのであれば、まず国会図書館の方を修正するべきである。

まとめ

以上の考えから、当サイトでは今後も、奥山氏の生年を1936年として情報を掲載していく。国会図書館のデータが修正されたら、当サイトも修正する。

最終更新日…2019年4月16日

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